Zigbee壁スイッチモジュールをHomeKitで使う

非対応品を使う

Zigbeeで動作する壁スイッチモジュールを使ってみました。本来は、ヨーロッパ・中国規格の壁スイッチに組み込んで、スマートスイッチ化するためのモジュールです。既存の壁スイッチをそのまま流用するので、違和感がないです。

壁スイッチモジュール

既存の壁スイッチを取り外して、Zigbee対応の壁スイッチに交換してHomeKitから操作する記事をいくつか紹介してきました。

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その一方、既存の壁スイッチに組み込んでスマート化するスイッチモジュール製品もあります。AliExpressでよく見かける製品です。説明を見ると、ヨーロッパや中国のEU規格壁スイッチに組み込むことを想定している様子です。例えば以下は、今回の製品に添付されていた取説の図で、EU規格の丸いスイッチボックスに取り付けています。なので、北米・日本のUS規格スイッチには適していないと思い込んでました。

でも色々な自作やDIYに使えそうな気がして来ました。また、壁スイッチの内部空間に余裕があれば、日本のスイッチでも使えそうです。

探してみたところ、需要があるのか、色々な規格の製品がありました。接続方式には、Wi-Fi接続とZigbee接続があります。また最近では、Matter over Wi-Fiの製品もありました。Matter over Threadの製品は、残念ながらまだ発売されていないようです。Matter over Wi-Fi版の製品は、以下の記事で使用しましたのでご覧ください。

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ただしWi-Fiベースの製品は、消費電力が大きいためか中性線が必須です。中性線が来てないことの多い日本の壁スイッチには不向きです。壁スイッチの中性線に関しては、こちらの記事をご覧ください。

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そこで今回は、こちらのページから中性線不要の製品を購入してみることにしました。Zigbee無線を使用しています。本来はTuyaのハブを使うことを前提にした製品ですが、Zeigbee2MQTTでもサポートされています。

ちょっと気になったのは、商品説明には100Vにも対応しているとあるものの、製品には200-240Vと書かれていることです。商品ページには、動作範囲を線で消して訂正してあります。

中性線なしの設計なので、100Vで使用すると、もしかしたら電力不足で動作不安定になるかもしれません。でも動作さえすれば(実際に使ってみたところ、後述のように問題なく動作しました)、設計電圧よりも低電圧のスイッチングをすることになるので、安全性は問題ないと思います。

開封する

ごく普通の白いボール紙に箱に入って到着しました。内容物を示した簡単なラベルが貼られてます。

開けると、本体、取り付けクリップ、コンデンサー、英文マニュアルが入ってます。コンデンサーは、照明器具のOff時インピーダンスが高い場合に並列に取り付けて、電力を得るためのものです。取り付けクリップには、爪やネジ穴がついています。EU規格のスイッチボックスには、この取り付けクリップに適合する爪やネジ穴が付いているのかもしれません。と思って少し検索してみました。

この取り付けクリップに付いている爪の間隔はちょうど35mmです。調べてみると、ヨーロッパの配電盤や制御盤で一般的に使われるDINレールという部品があるらしくて、これに引っ掛けて固定する爪だと思われます。DINとはドイツ工業規格のことです。ヨーロッパには便利な規格があって、ガラパゴスな国からすると羨ましいです。

仮配線する

マニュアルには、典型的な配線図として以下の図が載ってます。

中性線の来ていない壁スイッチの配線を、L, L1に接続すれば動作するようです。また、COMとS1に物理的なスイッチを取り付けられます。ここには、既存の壁スイッチを接続すれば良いようです。

動作確認のために、仮配線しました。コンセントプラグに電源ケーブルを接続して、このモジュールのL, L1を介してテーブルタップに接続します。また、以前取り外した壁スイッチをCOMとS1に接続しました。コンセントやスイッチのケーブル差し込み口は、本来は1.6mmまたは2.0mmのVVF線を差し込むべきところです。写真では、より線ケーブルを差し込んでしまっていますが、仮配線ということでご容赦ください。

このプラグをコンセントに差し込み、テーブルタップに電球ソケットを接続し、LED電球を取り付けました。この配線で、スイッチOn/Offで、電球をOn/Offできることを確認しました。

各端子の電圧を調べました。検電器で調べると、Onの時にはL, L1, COM, S1の4端子全部が、Offの時にはL1以外の3端子が、ライブ状態でした。手で触れてはいけないです。一方、COM端子とS1端子の電位差は、DC 2 Vでした。内部にTuyaの3.3V動作Zigbeeマイコンが組みこまれていて、そのGNDが浮いている(100V ACになっている)状態なのかと思います。スイッチに流れる電流は、おそらくロジックレベルの微弱な電流です。なので、通常の壁スイッチのようなゴツいスイッチと配線はオーバースペックで、絶縁さえ確保できれば、低電流用部品で十分でしょう。

Zigbee2MQTTにペアリングする

これをいつものようにZigbee2MQTTで直接接続して使用します。Zigbee2MQTTサーバ、MQTTブローカー (Mosquitto) 、Homebridgeが動作していて、さらにHomebridgeにZigbee2MQTTを使用するプラグインが入っている必要があります。手元の環境では、これらをRaspbetty Piで動かしてます。

設定の詳細に関しては、以下をご覧ください。

HomeKitでZigbeeを使う:Zigbee2MQTTを導入する
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このスイッチモジュールは、接続した実スイッチを5回On/Offするか、もしくはリセットボタンを5秒長押しすると、Zigbeeのペアリングモードになります。リセットボタンを長押ししたところ、内部の青いLEDが点滅しました。コンデンサを並列に取り付けなくても、十分な電流が得られたようです。モジュールがペアリングモードになったところで、Zigbee2MQTTのWeb UIでペアリングを有効にすれば、

10秒くらいでペアリングが完了します。デバイスページを見ると正しく認識されている様子がわかります。

HomeKitから使う

これでiPhoneやMacのホーム.appに、以下のようにスイッチが現れます。スイッチのタイプを照明にして、名前をZigbeeSWとしてあります。

   

これをタップすると、電球をOn/Offすることができます。On/Off時に、カチッという機械式リレーの音は聞こえませんでした。半導体リレーが使われているようです。

HomeKitから操作できる一方で、仮配線で取り付けた実スイッチ(下の写真で青いスイッチです)をOn/Offすると、やはり電球がOn/Offします。

既存の壁スイッチボックスの中にこのモジュールを組み込み、既存の壁スイッチをこのように接続すれば、実スイッチでもZigbee経由でも、どちらでも照明を操作できます。また、自作の照明器具などをDIYした場合、このモジュールとスイッチを組み込めば簡単にスマート家電が実現します。

Zigbeeメッセージの確認

MQTTが動作しているRaspberry Piにssh接続して、以下のコマンドでMQTTメッセージを確認しました(ユーザ名、パスワードもつけてあるのですが、省略しました)。HomeKitから、On/Offした時のメッセージです。

$ mosquitto_sub -t zigbee2mqtt/ZigbeeSW/#
{"linkquality":142,"power_on_behavior":"on","state":"ON","switch_type":"toggle"}
{"linkquality":142,"power_on_behavior":"on","state":"ON","switch_type":"toggle"}
{"linkquality":134,"power_on_behavior":"on","state":"OFF","switch_type":"toggle"}
{"linkquality":142,"power_on_behavior":"on","state":"OFF","switch_type":"toggle"}

1回の操作で、なぜか2回、同じメッセージが重複して流れています。念のためなのかもしれません。ちなみに、実スイッチを操作すると、流れるメッセージは1回だけでした。

stateという値が照明のOn/Offを決めているようです。この値をmosquitto_pubコマンドでsetすると、コマンドラインから照明をOn/Offすることもできます。例えばOnするためには、以下のようにsetトピックスにメッセージを流します。”state”の値は、ON, OFF, TOGGLEを指定できます。TOGGLEは、On/Offを入れ替える指定です。

$ mosquitto_pub -t zigbee2mqtt/ZigbeeSW/set -m '{"state":"ON"}'

同様に、”power_on_behavior”と”switch_type”の値も変更できます。”power_on_behavior”は停電から復帰した場合の振る舞いを設定します。値には、off, previous, onが指定できて、それぞれoff, 停電以前の状態、onになります。デフォルトはonです。”switch_type”は、接続した実スイッチ操作に対するOn/Off動作を指定します。次の節で詳しく説明します。

なお、これらの値は、mosquito_pubコマンドを使わなくても、Zigbee2MQTTのWeb UIからわかりやすく操作することが可能です。以下にその様子を示します。

Switch_typeを設定する

MQTTメッセージの”switch_type”により、接続した実スイッチ操作に対するスイッチモジュールの振る舞いを指定できます。switch_typeには、toggle, state, momentaryの中から一つを選びます。デフォルトはtoggleです。

Toggleタイプ

switch_typeをtoggleに設定すると、接続した実スイッチの操作に対して、下の表のようにOn/Off動作します。Current stateは、現在の照明のOn/Off状態です。その時に実スイッチをOffからOnに、もしくはOnからOffに操作した場合、照明の状態がどう変化するかを示した表です。

Toggle
Current state Off On
Sw Off—>On On Off
Sw On—>Off On Off

実スイッチを操作すると、操作内容に関わらず、現在の照明のOn/Off状態が反転します。押すごとにOn/Offが反転する実スイッチに適した動作タイプです。

例えば、以下のパナソニックコスモシリーズワイド21のスイッチでは、ボタン面を押すとOn/Offが入れ替わります。内部の機構でOnまたはOff状態を保持しているのですが、それぞれの状態で、スイッチ面の戻りも、応答も同一なので、人がOn/Off状態を識別することはできません。このスイッチには、Toggleタイプが最適です。

Stateタイプ

この動作タイプは、実スイッチのOn/Off状態をできる限り反映します。これも動作を表にしました。Current stateがOffまたはOnの時に、実スイッチを操作した場合の変化を示します。変化しない場合は括弧付きで表してます。

State
Current state Off On
Sw Off—>On On (On)
Sw On—>Off (Off) Off

スイッチをOnにした場合は必ず照明もOnに、Offにした場合は必ずOffになります。すでに目標状態にある場合は、変化しません。スイッチのOn/Off状態が機械的に表示される実スイッチ用の選択肢です。

例えばパナソニックのフルカラーシリーズやクラシックシリーズでは、シーソースイッチや、レバースイッチの機械的操作と形状で、ユーザがOn/Off状態を把握できます。操作しても照明が変化しないことの違和感はありますが、On/Off操作に正しく応答してくれるStateタイプが適してます。

Momentaryタイプ

3つ目の選択肢はMomentaryタイプです。実スイッチがOnからOffになるタイミングで、現在の照明状態が反転します。

Momentary
Current state Off On
Sw Off—>On (Off) (On)
Sw On—>Off On Off

このような動作に適した家庭用壁スイッチはあまりないかと思います。このモジュールを使ってスマート照明器具をDIYし、シンプルな押しボタンスイッチを取り付けるような場面では、このモードが便利かもしれません。例えばこのような押しボタンスイッチなら、耐圧も125Vあるので、適していると思います。

既存の壁スイッチに組込む

動作確認できて、スイッチタイプの違いも判明したので、いよいよ実際の壁スイッチに組み込んでみます。組込む対象のスイッチは、パナソニックのコスモシリーズワイド21です。よく見かける製品です。大きめのスイッチ部分を押すと、On/Offが反転します。なのでswitch_typeはデフォルトのtoggleが適しています。

1 gangなので、中の空間が割と空いていました。そこで既存のスイッチの上に、このモジュールを両面テープで取り付けました。念のために結束バンドで固定しました。スイッチ本体から後方に15mmほどオーバーハングしてますが、割とスッキリとおさまります。実スイッチへは、VVFケーブルから取り出した1.6mmの銅線で配線しました。電気的にはオーバースペックですが、スイッチの穴に合わせるにはこれしかありません。

これを、壁スイッチの場所に取り付けます。

壁の中の構造物や配線の関係で、スイッチの下側に移動しました。既存のスイッチボックススペースに、新たにモジュールを組み込もうとすると、空間が足りなくて苦労することが多いです。

今回購入したTuyaの製品の意外に、Sonoffがより小型の製品を販売してます。今回の製品は縦横39.2mmですが、Sonoffの小型製品は、39.5mm x 32mmです。今回のように既存のスイッチに貼り付けた場合、オーバーハングが7mm少なくなります。多少高い(300円くらい)ですが、こちらを使った方が楽だったと思ってます。

スイッチカバーを取り付けたら完成です。

どう見ても普通の壁スイッチです。でも、Zigbee対応で、HomeKitから操作可能です。他の部屋の既存のスイッチと同じなので、統一感があります。

まとめ

既存の壁スイッチに組込むタイプのZigbeeスマートスイッチモジュールを使ってみました。本来はEU規格のスイッチボックス用なのですが、日本のUS規格のスイッチでも使えました。パナソニックのコスモシリーズワイド21のスイッチに組み込みました。この壁スイッチは、押すとOn/Offが反転するので、スマートスイッチと相性が良いです。

類似のスイッチモジュールには、Wi-Fi方式のものや、Matter対応の製品もあります。照明器具のDIYにも使えそうなので、試していきたいと考えてます。

コメント

  1. TAKU より:

    はじめまして。
    有意義な情報をありがとうございます。
    記事を参考に1CHの同製品をアリエクスプレスで購入しました。
    実験的にトイレ照明で設置したところペアリングモードで落ちてしまいます。

    配線設置直後は物理スイッチでオンオフ操作ができ、リセットスイッチのワンプッシュで物理スイッチのオンオフの逆転ができます。
    その状態でリセットボタン5秒の長押しすると、一瞬青LEDが点灯しますがすぐ消えて電源が落ちたような状態になります。(その状態では物理スイッチも動作しません)
    ペアリングモード中は青LEDはずっと点滅状態ですよね?
    また配線を抜いて差し直すと物理スイッチが操作できる状態に戻ります。
    物理スイッチ5回オンオフもペアリングモードで落ちます。

    これは機械の不良なのか付属コンデンサが必要な状態なのか、素人にはよくわかりません。
    コンデンサの並列接続とはどこに配線すれば良いのでしょうか?

    アドバイス等ございましたらご教授願えませんでしょうか。
    よろしくお願いします。

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