Panasonicのスマート壁スイッチをHomeKitから使う

3.5
非対応品を使う

パナソニックのスマート壁スイッチ、リンクプラスを取り付け、専用無線アダプタ経由で有線LANに接続しました。この壁スイッチはECHONET Liteで動作します。HomebridgeにECHONET Lite用プラグインをインストールしたところ、HomeKitのホーム画面に照明器具として表示され、点灯・消灯が可能になりました。

リンクプラス

日本の規制(技適とPSE)に準拠したスマート壁スイッチ製品を販売している会社は、今のところ日本企業だけだと思います。ECHONET Liteのサイトで対応製品を出しているところをいろいろ探しましたが、パナソニックとコイズミ照明だけが該当するかと思います。(他にありましたら情報よろしくお願いします。)コイズミ照明の製品の方が少しだけ安価ですが、それほど変わらないので、日本のスマート壁スイッチ製品は、ほぼパナソニックの独占状態です。

エコーネットコンソーシアム
豊かな未来の社会を実現するために。エコーネットコンソーシアム

パナソニックは、いろいろな壁スイッチ・コンセントを製品化していますが、少し高級路線の製品群にアドバンスシリーズがあります。その製品群の中に、次の2系統のスマート壁スイッチがあります。

  • リンクモデル(旧製品)
  • リンクプラス(新製品)

リンクモデルが旧製品、リンクプラスが新製品のようですので、今リンクモデルの方を選ぶ理由は無いと思います。リンクプラスで一番シンプルで安価な1gangスイッチがWTY2201W (最後の1文字は商品の色) です。

旧型リンクモデルと新型リンクプラスの一番の違いは、BLE内蔵の有無です。リンクプラスはBLEを内蔵して、単体でスマホと連携します。もう一つの違いは中性線への対応です。リンクプラスには、中性線無しの2線式配線に対応したモデルがあり、既存のスイッチをそのまま置き換えることができます。競合するコイズミ照明の製品はどれも中性線が必要なようです。

ネットワーク構成

リンクプラスには、BLEの他に、920MHz帯の特定小電力無線を搭載しています。BLEを搭載しているのに、独自プロトコルの920MHz無線をさらに搭載するのは、コストも消費電力も無駄だと感じます。旧製品のリンクモデルは426MHzでしたから、互換性を考慮したわけでもなさそうです。

リンクプラスの920MHz特定無線情報を、ECHONET Liteに変換して有線LANにブリッジするための無線アダプターがWTY2001です。

無線アダプターを用意すると、LAN側からECHONET Liteプロトコルによる操作が可能になります。またGoogleやAmazonのスマートスピーカと連携可能になります。ただし、HomeKitとの連携機能はパナソニックからは用意されてません。

でも、Homebridgeには、ECHONET Liteを扱うプラグインが作られています。これを利用することで、リンクプラスをHomeKitから使用することが可能になります。

開封して取り付ける

壁スイッチの外箱と本体の写真です。PSEマークは丸型(特定電気用品以外の電気用品)です。てっきり菱形(特定電気用品)かと思ってました。配線を差し込んだ後は電極部分が露出しないので、丸型になるのかもしれません。また本体には技適マークは刻印されてません。

   

中性線無しの2線式配線なので、今までの壁スイッチを取り外して、そのまま交換できます。端子の0番、1番に配線します。3番コネクタは子機用で、通常は使用しません。

カバー(別売)をつけると完成です。アドバンスシリーズは高級感があります。このままでon/offすれば、通常の壁スイッチとして動作します。

一方、無線アダプターWTY2001はシンプルな茶色い段ボール箱に入ってました。

これも取り出して、ACアダプタ (DC5V2A) を接続して、有線LANに接続しておきます。

設定アプリを使う

パナソニックはリンクプラスとBLE接続するスマホアプリ「スイッチアプリ」を配布しています。これを使って機器の設定と、簡単な制御が可能です。

‎スイッチアプリ
‎アドバンスシリーズ リンクプラス に接続された照明機器を制御することができます。 ご使用には、アドバンスシリーズ リンクプラスのスイッチが必要です。 (リンクモデルをご利用の場合は、「照明スイッチ」のアプリをご利用ください) アプリに施工...

壁スイッチを使用する際には、最初にこのスマホアプリに接続せよと取説に書いてありました。初期設定などが必要なのかもしれません。以下の手順、

  1. 壁スイッチをスマホアプリに接続する
  2. 無線アダプタをスマホアプリで設定する

により、壁スイッチと無線アダプタがペアリングされるようです。アプリを起動すると、最初は設定メニューしか現れません。一旦設定すると、後から設定の一部を変更することはできなくて、設定を全部消して、またこのメニューから始めることになるようです。

設定メニューには、利用者と施工業者の2つのメニューがあります。どちらを選ぶと何ができるのか予想がつかなかったのですが、基本的には、スイッチとスマホのペアリングが「利用者」が設定する初期設定で、スイッチと無線アダプタのペアリングが「施工業者」が設定する施工設定と考えて良いようです。わかりにくいと思いました。

それぞれのペアリングの操作手順は、一般的なスマートホームのデバイスやシステムと比べて、かなり面倒でした。

スイッチとアダプタの操作

スイッチはBLE接続したスマホから操作し、無線アダプタはLAN経由したスマホ・PCからweb接続で操作します。

パナソニック純正スマホアプリ「スイッチアプリ」がBLE経由でスイッチに接続します。無線アダプタが設定されていれば、もしかしたらWiFi経由での接続もするのかもしれません。これでスイッチの動作を確認できます。また無線アダプタやECHONET Liteが不調でも、スマホアプリで状態確認や操作可能です。

一方、無線アダプターに割り当てられたIPアドレスに、webブラウザで接続すると、操作や設定が可能です。スイッチの操作やかなりの設定がパスワード無しのwebから出来てしまう点は、ちょっと不安に感じました。

HomeKitから使用する

ここまでで、パナソニックの手順に従った設定が終了し、公式サポートされた動作が確認できました。次に、Homebridge経由でHomeKitに接続します。

HomeKitから使用するために、HomebridgeにECHONET Liteを使うためのプラグインをインストールします。HomebridgeのプラグインのページでECHONETと検索すると、4個のプラグインが見つかります。このうち頻繁に更新されているHomebridge Echonet Liteを使いました。このプラグインは、照明器具と、エアコンに対応しています。

GitHub - neerajbaid/homebridge-echonet-lite: Homebridge plugin for ECHONET Lite devices.
Homebridge plugin for ECHONET Lite devices. Contribute to neerajbaid/homebridge-echonet-lite development by creating an ...

検索で見つかった残りの3個のうち、1個はこのプラグインの傍流のようです。また2個は、それぞれパナソニックエアコン、三菱エアコンのためのプラグインのようです。なので、今回使用したプラグインがおすすめかと思います。

プラグインをインストールする際に、手作業による設定は不要でした。プラグインをインストールしてHomebridgeを再起動すると、プラグインがLAN上のECHONET Lite機器を自動探索して、HomeKitに表示してくれます。この結果、iPhoneとMacのホーム.appの中に、「単機能照明」という名前で、リンクプラスのスイッチが現れました。HomeKitの照明器具として通常通り使用できました。

接続トラブル

現在は、応答速度も速く、安定して接続していますが、最初は不具合がありました。

リンクプラス壁スイッチを取り付けた直後、照明を消灯するための操作は問題なかったのですが、点灯しようとすると、実際の点灯まで3秒から15秒くらいの時間がかかりました。無線操作だけでなく、壁スイッチを手で直接操作する場合も同様に遅延します。また、無線アダプターがスイッチと通信できなくなることもありました。その場合、以下のようなエラーメッセージが、無線アダプタのwebページに表示されました。

これらの症状とメッセージ内容から、不調の原因は、スマート壁スイッチ内蔵コンピューターへの供給電力不足と思われます。こちらの記事で説明したように、

中性線なしで使えるZigbee壁スイッチをHomeKitで使う
AliExpressでZigbee方式の壁スイッチを買いました。Zemismartという会社の物理スイッチ方式の製品です。設置したところ、中性線の配線無しでLEDシーリングライトをon/offでき、またZigbee2MQTTとHomebri...

中性線無しの配線の場合、消灯時のコンピュータ電力は、消灯中にも器具に流れる微小な電流が頼りです。なので消灯中のインピーダンスが高くて電流消費の少ない器具の場合、十分な電力が得られない可能性があります。消灯時に遅延が長くなり、不安定になることから、この可能性が高いと考えました。

これを解決するためには、照明器具に並列にコンデンサを入れて、電流を増やす方法があります。今回は、予備のシーリングライトがあったので、それと交換してみることにしました。以前使ったYeelightのシーリングライトです。交換によりLED数が増えるので、待機電流も多くなり、壁スイッチに十分な電力が供給できるのではないかと期待しました。

YeelightのシーリングライトをHomeKitで使う
HomeKit対応と書かれていたシーリングライトをAmazonで買って試したところ、実は対応してませんでした。出品担当の方が記述を間違えたようで、今は訂正されてます。返品しても良い案件ですけど、調べてみたらHomebridgeに対応プラグイ...

その結果、消灯中の遅延が無くなり、ほぼ瞬時に応答するようになりました。無線アダプタから通信できなくなる不具合も解消しました。

ちなみに、パナソニックの取説には、「他社製の照明器具を接続してはいけない」と注意書きされてます。今回の不具合は、他社製器具を接続したことによるトラブルですので、製品自体の問題では無いです。ただ、市場で販売されている中性線不要のスマート壁スイッチは、ZigbeeやBLEの省電力無線モジュールを使っているのに対して、リンクプラスは、BLEに加えて20mW出力の特定無線を使用しています。この構成のために、消費電力が増えて、2線式配線における不具合が発生しやすくなっている可能性はあると思います。今回、相性が悪かったシーリングライトも、Zigbee壁スイッチでは問題なく使えてました。

価格

すでにお気づきのように、価格は高いです。壁スイッチと無線アダプタで最小構成になりますが、Amazonでの実売価格は合計で4万円近いです。

技適を取得していること、PSEマークが付いていることなど、コンプライアンスや安全性を担保するためにコスト増となるのは当然かもしれません。でも、Zigbee対応のスマート壁スイッチが4,000円以下で入手できて、ZemismartのHomeKit対応Zigbeeハブが5,000円、IKEAやSwitchBotのMatter対応ハブが9,000円の相場を考えると、3〜4倍くらいの感じです。Matter/Thread対応スマート壁スイッチが一般的になった時に、技適を取得して輸入してくれる代理店が現れることに期待したいです。

まとめ

パナソニックのスマート壁スイッチ製品、リンクプラスを使用しました。中性線無しでの配線ができるので、既存の壁スイッチをそのまま入れ替えられます。ECHONET Lite対応のHomebridgeプラグインと、Homebridgeのおかげで、インストールボタンを押すだけの手間で、HomeKitから使うことができました。応答速度も速く、動作も安定しています。

技適マークもPSEマークもありますが高価格です。また、Zigbee方式の壁スイッチと比べると、照明器具との相性が少し厳しいようでした。しばらく使用していきたいと思います。

コメント

  1. 細谷 淳 より:

    いつも大変参考にさせていただいております。
    日本の技適とPSEに適応している壁スイッチとしてはApple Storeでも販売されている台湾製の以下製品があります。
    AURA Frontier Smart Home Light Switch(ただし、以前あったDP型はディスコン、SP型も在庫切れです。)私はSP型を先日購入しました。
    これは乾電池を使うことで中性線を不要にしています。HomeKit対応です。

    多少関連したご質問ですが、Echonet lite準拠の電動シャッターをHomeKitに接続する方法が見つからず難儀してます。自分ではHomebridge用Plug-inなどのコードを書けないので皆様のご知見にすがるしかないのですが、もし何か手段を思い付かれるようでしたらご教示いただけるとありがたく存じます。
    宜しくお願い申し上げます。

  2. diysmartmatter より:

    AURA Frontier Smart Home Light Switchは知りませんでした。情報ありがとうございます。在庫復活したら試してみたいです。

    Echonet LiteのHomebridgeプラグインは、照明とエアコンしかサポートしていないようなので、自作するしかなさそうですね。

    • 細谷 淳 より:

      コメントありがとうございます。
      AURAの製品は本体の物理スイッチがタッチセンサーになっていて、いい感じです。

      導入予定のYKK電動シャッターはJEM/A端子があり、それをパナソニックのIP/JEMA変換アダプターを介してEchonet liteプロトコルで同じくパナ製のAiSEG2でコントロールするのが日本メーカーに閉じたソリューションのようなのですが、私はどうにかしてHomeKitに持ち込めないかと探っているところです。Homebridgeプラグイン自作か、以前作成されていた電気錠のJEM/A端子とESP32を繋ぐ方法が可能性ありそうかと拝見してます。気長に調べてみます。

  3. Daisuke より:

    記事、読ませていただきました。
    MacにHomebridgeを導入し、当該プラグインをインストールしたのですがホームアプリ上に表示されませんでした。
    パナソニックのリンクプラスではなくリンクモデルを使用しています。無線アダプタも導入済みです。
    リンクモデルはechonet非対応なのでしょうかね?

    • diysmartmatter より:

      リンクプラスとリンクモデルでは使用している無線が異なるので、リンクモデル用の無線アダプターが必要なはずです。多分、MKN7531だと思います(要確認)が、そちらをお使いでしょうか?MKN7531はECHONET Lite対応リストに載ってます。

      リンクプラス用無線アダプターWTY2001の場合は、そのIPアドレスにwebブラウザでアクセスすると、記事に書いたようにスイッチのコントロールができます。多分MKN7531でもできると思うのですが、それは動作しているでしょうか?

  4. 細谷 淳 より:

    久しぶりのフォローアップです。
    Phillips Hueの照明を中心としてHomeKitでコントロールする環境に、コイズミ製の間接照明を取り込む作業がようやくうまくいきましたのでご報告します。コイズミの照明はスマートブリッジを介することでEchonet liteで制御できるため、これをHomebridge + Echonet liteプラグインで接続したわけです。ただ、コイズミ側をうまく動作させる苦労が大変でした。同時に接続しているDaikinのエアコンの温度情報を併せて反映する点で、プラグインは本稿で紹介されているものではダメで、もう1つの方(@zcbenz)がうまくいきました。また、このコイズミ照明は本来は調光調色なのですがHomeKit上は調光のみ操作できるという制限がありました。(もしかしたらスマートブリッジの設定の問題かも)

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