電子レンジが突然故障しました。表示も操作音も消えて、何を操作しても無反応です。分解して調べたところ、電解コンデンサーの容量が抜けてました。新品のコンデンサーに交換したところ、再び動作するようになりました。またもやスマートでもデジタルでもない話題ですみません。
電子レンジが故障した
ある日突然、電子レンジが動作しなくなりました。20年以上前のNational製品です。スイッチやダイヤルを操作しても、操作音がなく、液晶表示も消えたままです。電源コードを差し直しても変化ありません。
電子レンジの側面に、簡単な配線図のようなものが貼付されてます。かなり省略されていますが、これを手掛かりに、故障原因を調べることにしました。
これを見ると、15Aのヒューズがあります。古い家電製品では、部品の故障が無くても、経年劣化でヒューズが切れることがあるそうです。ヒューズは、定格になったら金属線が溶けて切れる部品ですので、通常使用でもそこそこ発熱するらしいです。消費電力の上下に合わせて、温度も上下するので、熱膨張・熱収縮を繰り返して金属疲労で切れる場合があるようです。そこで、まずはヒューズを調べることにしました。
ヒューズは問題無し
電子レンジ背面のネジを4箇所外すと、上蓋が外れました。
写真は、操作パネルの裏側あたりです。丸で囲んだ辺りに、通常サイズのガラス管ヒューズが、ソケットに挿さって設置されてました(写真はヒューズを外した後です)。ヒューズを外して調べたところ、導通してました。ヒューズは切れていなかったようです。
今回の修理が完了した後で、YouTubeのおすすめに電子レンジ修理動画が出てきました。関連キーワードを検索したからかなと思います。その中に、ヒューズ交換で直ったという動画がありました。ヒューズが原因であることはそこそこあるようです。
コンデンサが怪しい
ヒューズは大丈夫だったので、他の部分を観察しました。上の写真にも写っている、この電解コンデンサが少し膨らんでいるようにも見えました。
基板からコネクタを全部取り外して、固定ネジを1個外すと、コントローラ部分が全部外れました。そこでコンデンサ付近を拡大するとこんな感じです。
確かに少し肥大しているように見えます。コンデンサの右上方向の回路基板に、心なしか煤のようなものも見えます。コンデンサの内部圧力が上昇して、電解質が吹き出したのかもしれません。
この基板と、コントローラ部分を取り外した写真を下に示します(左下に見える電解コンデンサを、交換した後の写真です)。グレーのプラスチック部品の反対側は、電子レンジの操作パネルで、回転スイッチ、ダイアル、液晶表示が付いています。
写真に見えている回路基板が、上の回路図の2点鎖線の枠内の回路に相当するようです。右端にヒューズが見えます。交流100Vを整流して、直流18Vや直流5Vを作ってます。この基板には、さらにリレー(中央の黒い3個の部品)が複数搭載されていて、電子レンジのマグネトロンや、トースターのヒーターなどを制御しています。この基板の下には、マイクロコンピュータが搭載された別の基板があり、左のフラットケーブルで接続されています。
このように、マイクロコンピュータの電源回路として機能しているので、これが動作しない場合、コンピュータが動作せず、表示やスイッチ、ダイアル操作が出来ない可能性は十分あり得ます。
怪しい部品を取り外す
前述の膨らんでいる電解コンデンサは、故障している可能性が高いので取り外しました。
また、トランジスター(この写真の上部にある黒い四角い部品)の周囲も煤けているので、一応怪しいです。トランジスターの隣にあるもう一つの小さな電解コンデンサも、念のために取り外します。基板上の電解コンデンサはこの2点だけでした。
はんだ付けされた部品の取り外しには、以前ご紹介したはんだ吸取器が便利です。ちょっと高価ですが、これのおかげで部品取り外しがすごく快適です。
部品チェック
取り外した
- トランジスター D2006
- 電解コンデンサ 470μF 35V
- 電解コンデンサ 22μF 16V
を、AliExpressで買ったテスターで検査しました。オリジナルは米国製の高価なテスターで、その安価なパチモノのようです。抵抗、コンデンサ、半導体部品などを、とりあえず接続して、Startボタンを押せば、自動判別して測定してくれるので便利です。
トランジスタは、ちゃんと動作している様子でした。なので、そのまま基板に戻しました。トランジスタ周囲の煤は、トランジスタから出たものではなかったようです。
一方で、電解コンデンサは、どちらも容量が50nFとか50pFで、ほぼ容量ゼロでした。どれも容量抜けして、壊れているようです。
コンデンサを取り替える
そこで新品コンデンサを入手しました。Amazonでセット製品が安かったので買ってしまいました。日本製の部品を個別に買った方が良かったのかもしれません。でも試作するときに、たくさんの種類があると便利だと思い、今回はこれを使いました。
元の部品と合致する容量のコンデンサを取り付けて、修理完成です。交換した結果が下の写真です。金色の帯のあるコンデンサが新品です。
コンデンサ2個を交換したところで、組み直しました。これだけで、故障が治るかどうか疑わしかったのですが、なんと動作しました。
電源回路コンデンサの容量抜けで、マイクロコンピュータが動作していなかったようです。
まとめ
電子レンジが突然故障したので、修理をしました。マイクロコンピュータ用電源回路の電解コンデンサが容量抜けしてました。コンデンサを新品に交換したところ故障は直りました。
電子レンジのマグネトロンには数千ボルトの電圧が印加され、電源を切ってもしばらくは残留してます。マグネトロンと、そのインバーター回路部分は、簡単には手を触れられないようにカバーされていましたが、修理を試みる場合には、十分にご注意ください。
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