電源タップを改造してスマートプラグに対応させる

DIYする

スマートプラグの差込み刃(栓刃)のサイズが8mm/6mmのため、差込口が6mm/6mmの電源タップに接続できないでいました。そこで差込口をDIYで広げて、スマートプラグに対応させました。

コンセントのNとL

壁の100Vコンセントの端子は、片方が中性線 (Neutral, N) で片方が電圧がかかっている端子 (Line, L) です。端子をよく見ると、短い端子と長い端子があります。プラグ🔌端子の幅が8mmなのがNで、幅6mmなのがLです。Nに触れても大丈夫ですが、Lに触れると感電します。Nの線は、図のように電柱の変電トランスの場所などで接地されているからです。

コンセントの語源

ちなみにコンセントというのは、concentric plug/socket (同軸プラグ/ソケット)の略との説が有力です。昔は電源用に図のような同軸プラグ・同軸ソケットが使われていたそうです。ガラパゴスな和製英語だと言われていますが、英国でも「コンセントリック」って略されていたようです。

https://www.plugsocketmuseum.nl/Concentrics/GEC-Admiralty-S666.jpg

https://www.plugsocketmuseum.nl より引用

電源タップの差込口

このように、壁コンセントの端子の幅は、8mm/6mmなのですが、国内電気製品のプラグは、どちらの差込み刃(栓刃)も幅6mmのものがほとんどです。なので、壁のコンセントのNとLに関係なく、どちらにも好きな方向に挿すことができます。

電源タップ製品プラグの栓刃も、6mm/6mm幅が多いです。でも電源タップの差込口は、壁のコンセントと同じく、8mm/6mmの対で作られていることが多いです。

極性のある差込口

ただ、中には差込口が両端とも6mm幅のものもあります。

極性の無い差込口

ちょっとオシャレな電源タップに多い設計な気がします。確かにどちらも6mmにサイズが揃っていた方が見た目は綺麗です。いまパソコンデスクの下に取り付けている、エレコムの電源タップもそんなオシャレなタイプです。

両端でねじ止めできて、USB Type-A電源が4個付いてます。テーブルの反り防止材に取り付けられるスリムサイズなので邪魔にならず、とても便利に使ってます。見た目も綺麗なのですが、コンセント差込口が全て6mm/6mmです。このようなデザインで8mm/6mmの電源タップが欲しかったのですが、売られていないので渋々これを使っています。

スマートプラグが挿さらない

6mm/6mm用の電源タップには、栓刃が8mm/6mmのプラグは挿さりません。国内製品のプラグは大体大丈夫ですが、たまに8mm/6mmの対でN/Lを区別するよう律儀に設計された製品があると、電源タップに挿さりません。

https://www.worldstandards.eu/wp-content/uploads/electricity-type-A-plug-768x359.jpghttps://www.worldstandards.eu/ 

数ヶ月前に、Merossのスマートプラグを買い足したら、このエレコムの電源タップで使えませんでした。

1年くらい前に購入したMerossスマートプラグは、この電源タップで使えました。比較してみます。初期に購入した製品が写真の左の品で、同じAmazonのページから買い足したのが右の製品です。見てわかるように、1年前は極性無し6mm/6mmプラグだったものが、極性付きの8mm/6mmプラグになってます。昔は、日本向けに6mm/6mmプラグだったのが、一時的に品切れで8mm/6mmの海外版になったのかもしれません。

左が旧製品、右が現在販売されている製品

Merossに限らず、SwitchBotやSonoffのスマートプラグも、現在販売されている商品はどれも8mm/6mmでした。

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これらはいずれも、エレコムのような「オシャレな」電源タップでは使えないです。電源タップを買うときには、できれば6mm/6mmの差込口のものは避けるべきだと思います。

電源タップを加工する

解決するには以下の方法が考えられるのですが、

  • 電源タップを8mm/6mm対応の製品に買い替える(でも欲しい製品が無い)
  • スマートプラグを6mm/6mmの製品に買い替える(これも製品が無い)
  • 6mm/6mmを8mm/6mmに変換する器具を買う(煩雑になるので避けたい)
  • スマートプラグの栓刃を削って6mmにする(金属製なので硬そう)
  • 電源タップの差込口を広げて8mmにする(プラスチックなので加工が楽)

このように検討した結果、タップの差込口を広げることにしました。まずは、電源タップを分解します。タップのネジが特殊な正3角形 (3mm) だったので、これに合うドライバーが必要です。

これに合うビットは、こちらのドライバーセットに入ってました。

12本のネジを外して電源タップの裏蓋を開けると、端にUSB電源回路があります。ここにもネジが2本あるので外します。

コンセントの部分は、金属レールで配線されていました。

レール部分を外すと、差込口の部品が外れるようになります。この差込口部品を見ると、外側は6mm/6mmの穴ですが、裏側は8mm/6mmに対応しているようでした。

白い側が裏側で、黒い側が表側です。差込口部品を構成する白い部品の穴は、8mm/6mmになっていますが、黒い部品は6mm/6mmです。なのでSwitchBotのプラグに挿してみるとこんな感じです。差込口部品には6mm側の栓刃にしか挿さりません。

穴が小さいので6mmの栓刃にしか挿さらない

白い部品の大きい方の穴は8mm側のプラグに挿さりそうに見えますが、前面の黒い部品が邪魔して合いません。黒い部品の穴の片側を、8mmに広げれば、極性のあるプラグに対応できそうです。そこでルーターで削りました。良い形の歯を持っていなかったので、時間がかかりました。さらには、サイズの合う細いヤスリがあれば、手作業で簡単に広げられたかもしれません。

その結果、幅の広い方のプラグにも挿さるようになり、SwitchBotの両方のプラグに合うようになりました。

片側の穴を広げたので両方の栓刃に挿さる

今回、穴を広げたのは下の写真で示した1箇所だけです。見た目はほとんど変化していません。他の穴は必要に応じて対応しようと思ってます。

これで、8mm/6mmのスマートプラグが取り付けられるようになりました。写真ではSwitchBotのHoeKit対応プラグを取り付けてます。

穴の形を広げただけでなく、壁コンセントへの配線をチェックして、中性線が、今回加工した8mm穴に接続されるようにしました。というのは、スマートプラグは極性に配慮した方が良いらしいからです。

極性はどっちでも良いのか?

ほとんどの電源回路は、商用電源の高電圧側と、本体回路の低電圧側をトランスで絶縁しているので、交流電源の極性は気にしなくて良いはずです。大昔のラジオで、トランスレスラジオというのがあって、100Vを直接半波整流する方式がありました。あの場合は、極性を逆にすると、ラジオの金属部分に触れた時に感電します。今はそのような製品は無いので、極性はどちらでも大丈夫なはずです。

とはいえ、オーディオ関係者の間では「極性を気にして正しくプラグを挿した方が音が良い・ノイズが少ない」と言われているようです。オーディオマニアのこだわりは、色々とネタにされることも多いので、気のせいである可能性はあります。でも、スマートプラグを本来の極性に合わせて接続したら、Wi-Fiが安定したという話も見つかります。

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スマートプラグの中のコンピュータは、100V側から電源をもらってます。しかし、スイッチング電源の降圧トランスで絶縁されているので回路的には極性は関係ないはずです。また出力側の電源をon/offするためにリレーを使ってますが、これもコンピュータ回路側とは電気的に絶縁されていますので、極性の影響は無いはずです。でもWiFiの安定性に違いが出たようです。

もしかしたら、ノイズを発生するL側と、ゼロ電位に近いN側を考慮して、設計者が、配線の引き回しとか、部品の配置などを行なっているのかもしれません。手元の環境で極性を逆に接続しても、特に問題は起こりませんでしたが、できればスマートプラグの仕様通りにNとLを接続した方が良いと思います。

同じことは、引掛シーリングでも起こり得ます。引掛シーリングは、極性に関係なく取り付けることができます。接続が不安定なスマートシーリングライトがあったら、引掛シーリングの取り付け角度を180度変えて、反対向きに接続すると良いかもしれません。

コンセントの極性を調べる

コンセントのどちらがL/Nなのかを調べる方法はいくつかあります。昔ながらの方法は、検電器(検電ドライバー)を使う方法です。ドライバーの握りの中に、ネオン管と抵抗が入ってます。コンセントに差し込んで、握りの反対側に手で触れてネオン感が光る方がL側です。買ってみましたが、光が弱くて判別が難しかったです。

それで、電池内蔵の検電器を買い直しました。Amazonで探したらいろいろな製品があり、どれも表示がLEDやLCDになっていて、さらに音やLED点滅で知らせてくれるのでわかりやすいです。日本のメーカ製もありましたが、中国製品が安くて多機能でした

単4電池使用なので、電池切れでも手近なリモコンなどから拝借できます。感度調整がボタン一つで簡単なのも良いです。中性線を判別したい時は低感度に、壁の中の配線を探したい時には高感度にするなど、用途に合わせて簡単に切り替えられます。

デジタルテスターで調べることも可能です。交流電圧測定モードにして、リード棒の片方をコンセントに差し込んで、反対側を手でつまみます。テスターの内部抵抗が高いので、感電することはありません。周囲の環境やテスター内部抵抗値などが関係するので一概には言えませんが、L側には大体40Vくらいの電圧が出ます。

まとめ

スマートプラグのサイズが8mm/6mmのため、手持ちの電源タップに接続できないでいました。電源タップの差込口が6mm/6mmだったので、8mm側の端子が入らないのです。それで電源タップ差込口をルーターで広げて、スマートプラグに対応させました。

穴を広げるだけでなく、壁コンセントからの配線をチェックして、スマートプラグの電源極性と合わせるようにしました。スマートスイッチやスマート照明などの、商用電源に接続する微弱無線デバイスは、電源極性に注意した方が良いようです。

コメント

  1. chabiichi より:

    某掲示板ではお世話なりました。
    私にとってタイムリーな話題で参考になりました。

    • diysmartmatter より:

      コンセント穴の話題はずっと下書きのままだったのですが、きっかけをいただいたのでDIY要素を書き足して公開しました。こちらこそありがとうございました。

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