Amazonを見ていたら、Matter over Thread方式のスマートプラグを見つけ、買いました。Onvisという会社の製品で、日本で入手できる最初で唯一のThreadスマートプラグではないかと思います。HomeKitにアクセサリとして追加してみました。すぐに接続できて、使用できました。
ローカルに稼働するプラグ
コンセント(アウトレット)に取り付けると、ネットワークからOn/Offできるスマートプラグは、お手軽にスマートハウス作れる定番商品です。いろいろな方式があるのですが、外部のサーバーに依存することなく、HomeKitからローカルに接続できるものは、
- HomeKitのHAP対応製品 (無線はWiFi)
- Matter対応製品 (無線はWiFi)
- Zigbee方式の製品 (無線はZigbee)
の3種類がありました。以下の記事を参考にしてください。


これらはそれぞれ、メリット、デメリットがありました。HAPやMatterは、HomeKitでサポートされているのですぐに使えますが、ZigbeeはZigbee2MQTTなどのゲートウェイが別途必要です。一方でWiFiは、Zigbeeと比較して、電力を消費する、デバイスでメッシュが組めないデメリットがあり、既存WiFi機器への影響も懸念です。プラグの場合、電力は潤沢に得られるので無関係ですが、他のWiFi機器の利用を圧迫する点はちょっと嫌でした。
今回、入手した製品は、これまでとは違う
- Matter対応製品 (無線はThread)
です。プロトコルはMatterなので、HomeKitからすぐに使えます。無線はThreadを使っているので、Zigbeeと同様に省電力、メッシュ構成可能で、WiFiへの影響も少ないです。今までの製品のいいとこ取りをした、待ちに待った製品です。
Threadのおさらい
Threadについては、以下の記事で調べたことを書きました。詳細はこちらをご覧ください。

Zigbeeの物理層とデータリンク層(MAC層)は、IEEE 802.15.4として標準化されています。Threadも、これと同じIEEE 802.15.4を採用しています。なので、無線部分は同じ規格と言えます。省電力で、メッシュ構成が可能です。
一方、MatterはIPv6の上で動作するプロトコルです。なので、WiFiや有線LANの上で動作しています。このMatterをZigbeeの無線規格の上で動かすためには、そこにIPv6を実装しないといけません。Threadはまさにこれを行う規格で、6LoWPAN(しっくすろうぱん)というIPv6実装が動いています。

( https://www.threadgroup.org/ )
Threadが動いていれば、IPの通信が可能なので、その上でMatterアプリケーションを動かすことができます。ただ、無線の規格が違うので、Thread上のMatterの情報をWiFiや有線LANに流す際には、物理層、MAC層の入れ替えが必要です。Threadでは、それをThreadボーダールーターと呼んでます。下の図で、黒い正方形のデバイスです。WiFiルーターをブリッジモードで動かしているような役割をしているのかと思います。

( https://www.threadgroup.org/ )
Threadボーダールーター
ということで、Matter over ThreadをWiFi / LANから使用する場合には、Threadボーダールーターが必要です。
Apple製品では、
- HomePod mini,
- Apple TV 4K (第2世代)、
- Apple TV 4K(第3世代)(有線LAN搭載モデルのみ)
が、Threadボーダールーターとして機能します。今回使用する環境には、HomePod miniがありますので(他は無いです)、それがThreadボーダールーターになります。
Apple Storeで売っている製品の中に、Threadボーダールーターとしても動作するAqaraのハブ製品がありました。結構高価ですが、スマートリモコン機能や、Zigbeeゲートウェイとしても機能するようです。「他社製のMatter対応デバイスをサポート」すると書かれています。Zigbeeゲートウェイ機能が、Aqara社以外のZigbeeデバイスに対応しているかどうか不明ですが、おそらく限定的と思われます。
調べてみたら、IKEAのDirigeraハブが、バージョンアップにより、Threadボーダールーターとして機能するようになっているそうです。もともとZigbeeは搭載していたので、ファームウェアで対応可能とはいえ、すごい進化です。技適付きThreadボーダールーターとして現状最安値 (税込8,999円) の製品だと思います。
また、前回紹介したAqaraのビデオドアベルG4の新製品G410は、Threadボーダールーターにもなるそうです。
Threadを搭載しているAmazon EchoやGoogleのスマートスピーカーも、一部がThreadボーダールータになるらしいです。ただ、Amazon Echoの場合、Threadボーダールーラーになれる機種は、上位機種が多く、安価なEcho Dotは、Threadをサポートしているものの、ボーダールーターの機能はないそうです。
また、AliExpressでは安価なThreadボーダールータ専用機も売ってました。これらを試したことはありませんが、原理的にHomeKitからも使えるはずです。
開封する
このMatter over Thread プラグは、少し前にAmazonで見つけて気になっていたのですが、ブラックフライデーセールで少し安くなっていたので、買ってしまいました。送料税込1,927円でしたので、スマートプラグの中では高価な方です。スマートプラグの場合、省電力なことを気にする必要はありませんので、Matter over WiFi方式のTP-Link Tapoのスマートプラグの方が安くて良いかもしれません。

ただ、将来的にThread製品が増えていくと思いますので、後述のようにThreadルーターとして動作する(と思われる)スマートプラグをThreadで揃えていくメリットはあります。
発注してすぐに、白い紙箱に入った製品が届きました。MatterとThreadのロゴがあります。

箱の裏には、安心の技適マーク、PSEマークが書かれてます。深圳の会社のようです。

箱の中には、本体と取扱説明書が入っています。取扱説明書は以下です。同じ内容は、オンラインでも配布されています。

本体にも、技適とPSEマークがついています。Matterのペアリング用QRコードも印刷されてます。

プラグの部分は、中性線側が大きめの栓刃 (端子) になってます。このタイプの製品には「使っているテーブルタップに挿さりませんでした」という低評価口コミが書かれることがあります。そんな人は、安全性軽視・見た目重視のテーブルタップの使用を控えて、壁のコンセントに挿すべきです。もしくは、テーブルタップの穴を広げるのも良いでしょう。

設定する
この製品を、家のHomeKit環境に接続する設定を行います。現在の環境で、Threadボーダールータになるデバイスは、HomePod miniが1台あるだけです。なので、プラグは、HomePod miniに接続されるはずです。
プラグをコンセントに接続すると、LEDが点滅してました。工場出荷時状態でリセットされているようです。ここで、iPhoneのホームの画面右上のメニューから、「アクセサリを追加」を選び、

製品または取説添付のQRコードを読み込ませると、

On/Offボタンが登録されます。(デフォルトの名前からMatter Plugに変更してあります)

ここまでの手順は、一度のやり直しもなく実行できました。そのため一瞬で設定終了しました。IoT製品の初期設定が、ミスなく実施できるがあまりなかったので感動です。たまたまなのかもしれませんし、Threadの初期設定手順が優れているのかもしれません。
ちなみに、Threadの規格によると、初期設定時には、iPhoneとプラグがBLEで通信して情報交換するようです。初期設定以外では、BLEは使われず、Threadボータールータ(HomePod mini)とThreadのみを使って通信します。
動作確認する
ボタンをOn/Offして、動作確認しました。中に機械式リレーが入っているようで、カチカチと音がします。素早く確実に動作しました。

HomePod miniにThreadで接続しているはずなのですが、ホームアプリからは、そのことは確認できませんでした。
スマートプラグは常時通電しているので、メッシュを構成するThreadルーターに適してます。これも確認できませんでしたが、以前使用したZigbeeのスマートプラグが、Zigbeeルーターとして動作していたので、同じ無線規格を使うこのプラグも、Threadルーターとして機能していると思われます。これからThreadデバイスを増やしていく予定ならば、メッシュ構成を可能にするThreadルーターが役立つはずです。
まとめ
Matter over Threadのスマートプラグを使ってみました。HomeKitへの登録は非常にスムーズで、すぐに使用開始できました。良い製品だと思います。
現状でお勧めのスマートプラグは、コスパで言えばTP-LinkのMatter over WiFiの製品ですが、WiFiへの負担や、将来性を考えるとこれで揃えていくのも良いかと思います。



コメント