石油ファンヒーター改造 (2: 3.3V電源を作る)

DIYする

前回は、石油ファンヒーターを改造して「延長」ボタン自動押し機能を作りました。これを3V電池駆動していたので、今回は5VのACアダプタで動作するよう変更します。さらに、ファンヒーターから5V電源を得られるように改造します。

前回の取り組み

前回の記事で、石油ファンヒーターの「延長」ボタンを自動で押すよう改造しました。単純ですが、確実に動作して、「3時間自動消火機能」を無効にできました。

石油ファンヒーター改造 (1: 延長ボタンを自動で押す)
石油ファンヒーターを買い足したので、去年と同様に改造します。まずは悪評の「3時間自動消火機能」を阻止するために、「延長」ボタン自動押し機能を追加します。去年は色々と凝ってしまいましたが、今回は最小限の改造を目指します。前回の取り組み以前の記...

ただ、単三電池を使っているので、4日くらいで電池が切れてしまいます。使っていない5VのACアダプターならばいくつも持ってますし、石油ファンヒーターの制御ボードからも5Vを取り出せるはずです。なので、今回は5Vから3.3Vを作る回路を追加して、ACアダプタやファンヒーターの電源を利用することにしました。

LDOレギュレーター

昔ながらの論理回路は5V電源だったりしますが、最近のCPUなどは3.3V電源です。なので、5Vから3.3Vへの電源変換部品が、ほとんどのIoT関連デバイスに搭載されてます。大抵は、平面実装の小さな3端子の部品で、入力、接地、出力のピンを持ってます。なので、近所の部品屋さんへ行って、5Vから3.3Vに変換する、いわゆる3端子レギュレーター部品を買ってくれば良いと思ってました。それで、昔ながらの3端子レギュレーターの部品コーナーを探したのですが、5V-3.3V変換部品が見つかりません。

少し離れた場所に、LDOレギュレーターという部品があって、そこに5V-3.3V変換に対応した部品がありました。BA033CC0Tという部品で、入力電圧は4~25V, 出力は3.3V 1Aとのことです。ESP-01を動かすにはオーバースペックな電力ですが、お店の在庫がこれしかありませんでした。通常の3端子レギュレータと同じ形状の部品なので配線は楽そうです。

調べたところ、一般の3端子レギュレータ部品では、5V-3.3Vのような電圧差が小さい変換には対応できないらしいです。そのために、LDO (Low Dropout) レギュレーターという部品が用意されているとのことでした。

5VのACアダプタを使う

BA033CC0Tの入力と接地に0.3μF、出力と接地に0.1μFのコンデンサを取り付けて、5V-3.3V変換させることにしました。手元にあった5VのACアダプタをバラして接続したところ、ESP-01を動かすことができました。これで電池の消耗から解放されました。

ファンヒーターから電源を得る

以前の記事でも石油ファンヒーターから5V電源を得てました。前の製品は、コロナのFH-G32YA2で、今回はコロナのFH-G3224Yです。外観はそっくりですし、型番も末尾が違うくらいなので、中の基板も同じような作りかと思いました。ところが、論理回路部分がかなり違ってました。

前回の製品 (FH-G32YA2) では、TLCS-870/Cという東芝の8ビットマイコンが使われていました。EPROMが外付けで、そのチップ (IS93C66) のピン配置から、5VとGNDの位置を特定することができました。しかし、今回の新製品 (FH-G3224Y) では、LAPIS L62Q1620という16ビットマイコンが使われています。LAPISは、沖電気の半導体事業部をロームが買い取る際に作られた会社の名前で、今はロームのブランドのようです。マイコンのビット数が上がっただけでなく、EPROMも内蔵されてます。そのため、電源位置がわかる大型チップがマイコンだけになってしまいました。それで、LAPIS L62Q1620の仕様を探すことにしました。

一致する型番の仕様を見つけることはできませんでしたが、LAPIS ML62Q1720という近い型番のチップが見つかりました。それによるとピン配置は以下でした。このチップは、ピン配置を極力統一しているのが特徴で、特に電源関係のピン番号は共通との記述がありました。なので、Vdd, Vssの位置はこれで正しいと思われます。実際に測定すると、Vddのピンには5V、Vssには0Vが印加されてました。このマイコンは、1.6Vから5.5Vで動作するようですが、ファンヒーターでは5Vで動作させているようです。これで5V電源を取り出せそうです。

そこで、基板パターンを追って、電源を取り出しやすい場所を探しました。基板の背後にLED電球を置いたところ、パターンがシルエットになってわかりやすくなりました。

こうしてパターンを追って調べたところ、ジャンパー線のJ76, J77がそれぞれ5V, 0Vになってました。基板の表から見ると、以下の場所です。ジャンパー線にはハンダづけしやすいので、ここから電源を取ると良いかと思います。

また近くに、検査用と書かれたコネクタCN21があり、その両端のピンが5V, 0Vになってます。このコネクタを利用することも考えましたが、取り外しが大変な気がしたので、J76, J77にACアダプタプラグをハンダ付けしました。

これをLDOレギュレーターに接続すれば、3.3V電源が得られます。

まとめ

ESP-01は3.3Vで動作するので、LDOレギュレーターを使って5Vから3.3Vを作る事にしました。これで5VのACアダプタや、石油ファンヒーターの内部電源を使ってESP-01を動作させることができました。

次回は、ユニバーサル基板で回路を組んで、ファンヒーターに組み込みます。

石油ファンヒーター改造 (3: HomeKit対応ファンヒーター爆誕)
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