リモコンが発する赤外線をフォトトランジスタで検出して、オシロスコープで観察しました。赤外線が強度変調されている様子も確認できました。既存のリモコンを調べてスマートリモコンをDIYする際に役立つと思います。
これまでの試み
スマートリモコンをDIYするために、今まで以下の2つの方法で、リモコンの赤外線パターンを調べてました。
受光モジュールを使う
家電の赤外線受信回路で使用されている受光部品を使えば、赤外線パターンを調べられます。例えば、秋月電子で110円で売られているPL-IRM0101-3を使えば、リモコンパルスのOn/Off状態をデジタル値として取得できます。
これをESP32に取り付けて、MQTTコマンドでリモコンの赤外線パターンを取得するDIYをこちらで紹介しました。
またこちらでは、Raspberry Piに取り付けて、Pythonプログラムで赤外線パターンを取得しました。
リモコンを分解して信号記録する
リモコンを分解して、赤外線LEDの信号をオシロスコープで見れば、赤外線が38kHz近辺で強度変調されている様子も確認できます。
Panasonicエアコンのリモコンを分解すると、以下のように赤外線LEDのピンにアクセスできました。これをオシロスコープに接続すれば、赤外線パターンを観察できます。
ただ、分解が難しい赤外線リモコンが多いです。裏蓋の噛み合わせがキツかったり、融着、接着されていることもあります。なので、赤外線の波形をオシロで直接観察できれば良いと思ってました。
光トランジスタを使う
そこで、フォトトランジスタを使ってリモコンが発する赤外線を直接オシロで観察することを考えました。フォトトランジスタには、秋月電子で見つけたフォトトランジスター (5mm丸型940nm L-51ROPT1D1)を使いました。10個セットで200円です。10個も要らないのですが。
販売ページにあるデータシートによると、940nmの赤外線があれば2mAくらいの電流が流れるようです。
それで5kΩくらいの抵抗を介して、5V USB電源に接続することにしました。そして、フォトトランジスターの両端をオシロスコープに接続します。1mA流れると0Vになる回路構成です。抵抗値を変えると赤外線の感度調整になります。
USBから電源を取る部分には、Micro USBソケットをDIPサイズに変換するキットがあったのでそれを使いました。ブレッドボードに以下のように配線します。
リモコン赤外線を測定する
このようにして配線した回路のフォトトランジスターに、三菱エアコンのリモコンを当てて、その信号を観察しました。
リモコンの位置、傾きによって信号の強度が大きく変わります。信号が強く検出される位置を探すと良いようです。その結果を下に示します。3V以上の振れ幅で、信号を観察できました。下図には、PL-IRM0101-3を取り付けたESP32で測定した赤外線パターンも、加えてあります。
パターンが合っていることがわかります。ちゃんと測定できたようです。時間軸を変えて、冒頭部分を調べます。細かい縞模様で見えていた部分が、強度変調されたパターンであることがわかります。この変調周波数(副搬送波の周波数)を測定すると37.8kHzでした。
変調周波数は、赤外線リモコンをDIYする時に必要なパラメータです。これがずれていると機器が反応しなかったり、赤外線到達距離が短くなってしまいます。
まとめ
フォトトランジスタをオシロスコープに接続して、赤外線リモコンの信号を観察しました。想定していた通りのパターンを観察できました。また強度変調している副搬送波の周波数も確認できました。
三菱のエアコンリモコンの他に、パナソニックのエアコン、東芝のテレビREGZAのリモコンを試したところ、同様の強度で信号を観察できました。しかし、古いNationalのエアコン、ダイキンのエアコンのリモコンは、波形は同様に確認できたものの、強度が3分の1くらいでした。もしかしたら赤外線の波長が異なっているのかもしれません。
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