スマート赤外線リモコンのプリント基板を作る

DIYする

ESP32を使った自作スマート赤外線リモコンのためにプリント基板を製造委託しました。基板の設計図を、基板屋さんのホームページにアップロードして発注したところ、基板が届き完成しました。こちらの記事の続きです。

前回のあらすじ

以前の記事では、ESP32に赤外線LEDを取り付けて、スマートリモコンを作りHomeKitから動作させました。

もともとは、こんな感じでユニバーサル基板で配線していたものです。ESP32に赤外線LED, 赤外線受信モジュール、温度・湿度センサが取り付けられています。

この回路図をKiCad EDAというソフトウェア(macOS版)で作り直して、

プリント基板レイアウトを作りました。

今回は、このレイアウトデータを使って基板を発注し、完成させます。

基板屋さんのサイトを探す

ネット上には基板のデータを受け取って、プリント基板を作成してくれるサービスが多数あるらしいです。初めてのことなので、色々検索して探しました。DIY向けなサービスとして以下の2か所が良さそうでした。

Fusion PCBという会社と、PCBGOGOという会社です。どちらもほぼ同じ価格で、同じ納期で作成してくれます。どちらでも良いと思いましたが、今回はPCBGOGOにしました。

費用を見積もる

今回の基板をそれぞれのサイトで見積もったところ、どちらも最小ロットで5ドルくらいでした。発注数は、最小で5枚、その上が10枚ですが、どちらも同じ値段です。その上、片面基板も、両面基板も同額でした。前回はレイアウトを頑張って片面で設計したのですが、頑張らなくても良かったようです。

実際にはFusion PCBの方が少しだけ安かった(PCBGOGOが5.0ドルに対して、Fusion PCBは4.9ドル)のですが、PCBGOGOの方には、なんと広告付きの選択肢がありました。基板にPCBGOGOのロゴが印刷される代わりに、無料になります。面白そうなのでPCBGOGOに発注することにしました。

作成費用は広告付きで無料になりますが、送料は必要です。これは値段と所要時間のトレードオフで選択できます。今回は10ドルの一番安価なオプションを選びました。1ヶ月くらいかかるとありましたが、実際には20日くらいで到着しました。

ということで、10枚の基板を発注して支払いは12ドルになりました。制作費0ドル、送料10ドルだと思ったのですが、制作費1ドルと「bank fee」が1ドル加算されてました。安いから良いです。

データをアップロードする

指示に従って、KiCadが作ってくれた以下のファイルをディレクトリにまとめて、zipで圧縮してアップロードしました。

  1. ir_esp32.drl(ドリル穴)
  2. ir_esp32-B_Cu.gbl(裏面銅配線パターン)
  3. ir_esp32-B_Mask.gbs(裏面マスクパターン)
  4. ir_esp32-Edge_Cuts.gm1(基板切り出し形状)
  5. ir_esp32-F_Silkscreen.gto(表面シルクスクリーン)

両面基板の場合には、表面銅配線パターンや表面マスクパターンなども必要です。今回は片面基板で作成したので、含まれていません。シルクスクリーンも表だけにしました。両面基板にしても値段は変わらなかったので、次からもっと豪華にしたいです。

アップロードしたデータは、サイトで確認できます。確認したら最終的に発注します。

基板が到着

20日ほどして、熱収縮エアキャップに包まれた10枚の基板が、深圳から到着しました。

片面基板で表面はシルク印刷だけにしたので、地味な感じです。PCBGOGOのロゴは、もっと大きく目立つ配置になると思いましたが、これも地味に仕上がって良いです。裏面はマスクだけとしたので、真っ白でした。

依頼した通りの出来栄えですが、次回からはもう少し賑やかにしたいなと思いました。

ハンダ付けする

それではいよいよ部品のハンダ付けです。ハンダ付けのスキルや道具が不十分なこともあり、もう少しランドのサイズや間隔に余裕を持たせて作っても良かったかもと思いました。

冒頭に示したユニバーサル基板のバージョンはもう不要ですが、勿体無いのでここから部品取りします。HAKKOのハンダ吸い取り機を使いましたが、ESP32の30ピンのハンダも完全に吸い取ってくれて、ピンを外せます。ちょっと高価ですが、確実にハンダが吸い取れます。

ESP32の開発キットを買うと、ヘッダピンが付属してます。Raspberry PiのGPIOピント同じ、ピンが四角い形状です。

このピンサイズが大きくて、プリント基板の穴に収まりませんでした。穴とランドをもう少し大きめにしておけば良かったかもしれません。

丸ピンのタイプのヘッダピンならばプリント基板の穴に収まるので、付属のヘッダピンを外して交換しました。その作業にもハンダ吸い取り機が活躍しました。

ユニバーサル基板から部品を全部外した状態です。ESP32のヘッダピンも外れてます。

これをプリント基板に移植します。赤外線受信モジュールは、まだ取り付けません。ESP32は必要なピンだけハンダ付けしてます。赤外線LEDの足は、少し長めに残して、角度を調整できるようにしました。

FETのランドはもう少し間隔をあけても良かったかもしれません。もっと小さいコテ先を使えば良かったのですが、最初のハンダ付けではブリッジしてしまいました。ゲートピンのハンダも不十分ですね。

USB顕微鏡で確認しつつ、こんな感じで、ハンダが球になるように仕上げました。ちょっとハンダが多すぎですね。

まとめ

スマートリモコンのプリント基板をネット上の基板屋さんに発注し、作成しました。初めての経験でしたが、無事動きました。プリント基板の製造委託は簡単でしたし、安価だったので、これからも活用していきたいです。

追記:コメントで基板データのご希望がありましたので、こちらに置いておきました。KiCadのデータも入れましたが、不備があるかもしれません。2024/10/11

コメント

  1. 遠藤 より:

    いつも拝読させていただいております。
    基板についての質問なのですが、赤外線ledをなぜ3つ使うのでしょうか?
    スマートリモコンの際に赤外線ledを3つ使用しなくては動かないのでしょうか?
    最近勉強を始めたもので不躾で申し訳ございません。

  2. 遠藤 より:

    ご回答ありがとうございます。
    分かりやすい説明、参考リンクありがとうございます!
    これからもお願いします!

  3. hsk より:

    matter関連はこちらのサイトが詳しく、いつも楽しく読んでおります。ちょうどこんな基板がほしいと思っておりました。少しご相談なのですが、基板もしくはデータなど、販売、共有いただくことはできないでしょうか。。。

  4. hsk より:

    早速のご返信、またデータ共有大変ありがとうございました。
    ぜひ活用させていただきます。

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