SwitchBot Hub 2が日本でも先月発売されて、一部SwitchBot製品がMatter対応しました。入手前に、そのMatter機能について考察しました。
追記:入手してMatter機能を使いました。以下をご覧ください
SwitchBot Hub 2が来る
SwitchBot Hub 2はMatter対応の新しいHub製品です。Hub 2が3月24日に発売されたのですが、買い遅れてしまいました。しばらく品切れだったのですが、それでも少しずつ入荷しているようで、明日にも届くらしいです。今はそれを楽しみにして、Hub 2のMatter対応について考えてます。
Hub 2のMatter対応に関して、プレスリリースやニュース記事を色々見ているのですが、何が変わって、何ができないのか、わからない部分が多いです。私なりに理解しているところと、推測していることを以下にまとめました。間違いありましたらコメントで指摘いただけるとありがたいです。
SwitchBot BLE製品の利用方法
電池駆動のスマートIoT製品では、省電力無線通信のためにZigbee, Thread, Bluetooth Low Energy (BLE)が使われています。SwitchBot製品ではBLEが採用されています。SwitchBotのネットワーク構成と、Homebridgeへの接続方法については以下の記事で紹介しましたが、
Hub周りの機能を中心に再度まとめます。
BLE直結
現行モデルの全てのスマホにはBLEが搭載されているので、BLEで動くIoTデバイスを直結することができます。なのでSwitchBotのアプリを使い、BLE製品を個々に設定したり制御できます。
HomebridgeにSwitchBot BLEを扱うプラグインを導入すれば、HomeKitからBLE経由で制御できます。SwitchBotのスマホアプリは、設定や調整のために必要ですが、それが終了すればお役御免です。再調整が不要なら削除しても構わないくらいです。これで、SwitchBot製品以外のHomeKit接続デバイスとの連携、HomeKitのオートメーション、家の外からの制御などが可能になります。専用アプリもHubもクラウドも不要なので、シンプルでわかりやすい構成です。その一方で、BLEの接続が不安定になることもあり、たまに制御に失敗することがありました。
Hub Miniを使う
旧製品のHub Miniを使うことで、WiFi (LAN)やインターネットに接続可能になります。これでSwitchBotアプリは、BLE経由だけでなく、WiFi経由とクラウド経由でデバイスをコントロールできるようになります。クラウドの機能で、SwitchBot製品同士の連携、オートメーション、家の外からのアクセスが可能になります。
Hub Miniを導入してSwitchBotのクラウドが使えるようになると、Homebridgeでも、クラウドを使うプラグインが使えます。SwitchBotが開発してくれているプラグインがありますので、それが使えます。BLE直結よりも安定して動作します。
Google/Amazonとの連携
SwitchBotクラウドが使えるようになると、GoogleやAmazonのエコシステムとも連携できるようになります。クラウド間で連携することで、スマートスピーカやGoogle/AmazonスマホアプリからSwitchBot製品が制御できます。SwitchBot製品のユーザの大半は、以下のような構成で使用していると思います。
Hub 2を使う
そんな状況で登場した新製品がHub 2です。従来製品に比べて
- 温度・湿度センサを搭載し表示する
- エアコン赤外線リモコンをモニターして設定変化を取得する
- トリガに使える押しボタンスイッチ搭載
などが提供されましたが、話題になっている一番の新機能は、
- Matter対応
です。Matter対応になって、HomeKitが公式サポートされました。HomeKitではもともとHomeKit Accessory Protocol (HAP)というプロトコルでIoT機器と通信します。MatterはHAPに相当する機能をAppleが提供したものです。なので親和性は高く、MatterはHAPの環境にほとんどシームレスに取り込まれます。先の図と比較するとわかりやすいと思いますが、Homebridgeとそのプラグインのような有志の皆さんが頑張って作ったツールを使わなくても、SwitchBotとAppleの標準機能で直結できるようになります。また、SwitchBotクラウドを経由する必要もなくなります。
このように、Matter対応は、HomeKitユーザにとっては素晴らしい新機能です。でも、すでにクラウド経由で連携できていたGoogle/Amazonユーザにとっては、今のところMatter対応のメリットはありません。
Matter対応の今後
HAPやMatterは、クラウドに依存しないローカルなプロトコルです。Hub 2により、HomeKitからMatter経由でSwitchBotデバイスが制御できるので、以下の図のようにSwitchBotクラウドに依存しない運用が可能です。SwitchBot社は大丈夫でしょうが、メーカーがクラウドを閉鎖したために、IoT製品が文鎮化する例がいくつかあります。クラウド依存を減らすことで、文鎮化リスクを回避できます。HomeKitはApple iCloudを使用しますが、iCloudが担当するのは、オートメーションと家の外からの制御だけです。なので、インターネットが切断されても、HAPやMatter経由での機器操作は可能です。
GoogleやAmazonのシステムからもMatterが使えれば、クラウド依存リスクの低減が見込めるはずです。でも、SwitchBot社の説明を紹介する記事によると、
発売時点で対応するのは、米Apple(アップル)のスマートホームプラットフォーム「HomeKit」のみ。ほかのプラットフォームへの対応スケジュールは、現時点では明らかにしていない。
ということらしく、不透明な状況です。Matterは標準規格なので、SwitchBotはMatter対応デバイスを作っただけで、HomeKitからはそのままで使えたはずです。同じことがGoogle/Amazonで出来ないということは、Google/Amazonのシステムが対応していないということかと思います。Google/Amazonからしたら、IoTデバイスメーカー各社がクラウド経由で対応してくれているので、わざわざMatter対応する必要性は低いのかもしれません。今まではクラウド経由がメインで、ローカルなプロトコルでのサービスは提供してこなかったので、それを提供する仕組みも作らないといけないと思われます。
Google/Amazonは、スマートスピーカーにZigbeeハブ機能を組み込んではいました。なのでMatter over Threadに関しては推進しているようで、対応もされているようです。Apple TVやHomePodがMatter over Threadのボーダールータとして機能しているのと同じレベルの対応かと思います。Google/AmazonのアプリレベルでMatterデバイスをローカルに登録して利用できるのは、まだ先になるのかもしれません。
まとめ
SwitchBot新製品Hub 2のハブ機能、特にMatter対応について、ネットの情報などから現状を書いてみました。認識が間違っているところもあるかと思いますので、事情をご存知の方いらしたらぜひコメントやTwitterで教えてください。
コメント
赤外線リモコンで登録した家電をHomeKitに通すことは現状できないようですね。
そうですね。現時点でMatterにブリッジできるのはカーテンとブラインドだけのようです。
SwitchBotのHomebridgeプラグインは赤外線リモコン経由のエアコン、テレビ、照明などに対応しているので、Matter対応も期待したいです。
https://github.com/OpenWonderLabs/homebridge-switchbot