AthomのZigbee-Homebridgeサーバを使ってみました。Raspberry Pi Zeroに有線LANが付いたような基板 (Orange Pi Zero) にZigbee USBドングルが搭載されて、Homebridge, Zigbee2mqtt, Mosquittoが動きます。コスパは悪いですが、設定不要で動くので、市販のブリッジ製品くらいの気軽さで使えます。
AthomのIoT製品
Tasmota, ESPHome, HomeKitなどに対応したデバイスを作っているAthom Technologyって会社(場所は深圳?)があります。相場に比べて価格が安いわけではないですが、マニア向けなハードウェアを作ってます。そこでZigbee搭載Homebridgeサーバが売られてました。Zigbee非搭載のモデルもあります。
以前は、Zigbeet付きモデルをAliExpressでも売っていたのですが、今は見つかりませんでした。Zigbeeの無いバージョンでしたら今も売られています。Zigbeeデバイスを一切使用しない場合は、こちらでも良いかもしれません。
Zigbee無しバージョンを買って、より性能の良いZigbeeトランシーバを接続するのも良いかもしれません。ただその場合、自力でZigbee2MQTTとMosquittoをインストールすることになります。買ってきてすぐに使えるというメリットが活かせないと思います。
Orange Piを使ったサーバ
AliExpressを見ていると、Orange Piっていうコンピュータ基板が見つかります。名前の通り、Raspberry Piのようなコンピュータです。ただし、互換機ではありません。この製品のメイン基板にも、Orange Piシリーズの中のOrange Pi Zeroという基板が使われてます。AliExpressのページなどの情報によると、仕様は以下らしいです。Raspberry Pi Zeroに近いカテゴリの小型基板ですが、ビデオ出力が無く、有線LANが付いている点がサーバ向けの構成になっていて良いです。
- Wllwin H2 ARM Cortex-A7 4コア
- GPU: mali400mp2 @ 600MHz、OpenGL es 2.0をサポート
- メモリ: 512MB
- イーサネット: 10/100M
- Ubuntu Xenial Xerus (16.04.6.lts)
- WiFi搭載、 でもBluetoothは無い
今回のHomebridgeサーバ製品、これが、サイズが55 x 50 x 36mmの小いさな白いケースに入っています。Orange Piのロゴが刻印されているので、標準的なケースだと思われます。ケースには、Ethernet, USB 2.0, micro USB (OTG), micro SDカードの端子があります。micro USBは電源用です。
ケースの裏蓋はネジ4本を外すと簡単に開きます。メインのOrange Pi Zero基板に、無線の基板が載ってます。これがZigbee無線のようです。AthomのページによるとCC2530PATR 2.4Z-Mというモジュールらしいです。メインの基板とは4本のヘッダピンで接続されています。ちょっとぐらついてますが箱の中で固定されるので問題ないでしょう。4本のピンは、プリント基板の印字によると、USB 2.0の5V, GNC, D+, D-のピンのようです。Zigbee2MQTTのページによると、CC2530は古いチップで、動くけど推奨しないとのことでした。
付属品
付属品は以下のように完璧ですぐに使用できます。
- 電源アダプタ(USB電源)
- 電源用USBケーブル
- Ethernetケーブル
- micro SDカード
micro SDカードにはOS類がインストール済みです。使用する前にSDカードをバックアップしておくのが良いと思います。macOSやLinuxだったら、
dd if=/dev/rdisk<番号> of=athomserver.iso bs=16m
のようにddコマンドでバックアップできます。<番号>の部分は、SDカードをUSBアダプタにつけてマウントした時のディスク番号です。
サーバを動かす
サーバは全部設定済みなので、動かすのは簡単です。
- SDカードを指して、
- Ethernetケーブルを指して、
- 電源を接続する
だけです。DHCPでアドレスを取得するので、ルータのログを覗いて付与されたアドレスを調べます。orangepizeroというHostnameが付与されているので、それを目安に探しても良いでしょう。あとは、そのアドレスに:8581をつけて、webブラウザで開けば使えます。例えば、http://192.168.4.12:8581を開きます。デフォルトのユーザ/パスワードは、admin/adminらしいです。ちなみにsshのユーザ/パスワードは、root/athom.techです。
このあとは、
- ログインして、
- 表示されるQRコードを使ってiPhoneからブリッジとして追加して、
- Zigbeeデバイスをペアリングモードにすれば、
iPhone/Macのホーム.appから使えます。とても簡単です。唯一スキルが求められるのは、DHCPで割り当てられたアドレスを見つける技能くらいかと思います。設定と使用の方法は、AliExpressの販売サイトにも色々と書かれてます。
コストパーフォマンスは良くありません。Raspberry Pi 4を買って、最新のZigbeeアダプタを使えば、1クラス上の性能のサーバを同程度の価格で作れます。(追記:記事執筆後にRaspberry Piが高騰したので、同価格は無理ですね)ただ、サーバをインストールして設定する手間が必要です。それに対して、市販のZigbeeゲートウェイと同じくらいの簡単な手順で、Zigbee + Homebridgeサーバを作ることができるので、入門機として良いのではないかと思います。
アップデートする
誰でも使える入門機の使い方としては無粋かもしれませんが、搭載されているソフトウェアを最新版にアップデートしました。
Homebridgeのアップデート
これは簡単です。WebページからHomebridge本体、UI, プラグインのどれも、更新ボタンを押すだけでアップデートされます。
Zigbee2MQTTなどのアップデート
sshでログインして
sudo apt update sudo apt upgrade
などすれば良いと思います。Zigbee2MQTTに関しては、こちらの手順も有効かと思います。
OSのアップデート
これは多少の手間がかかりました。sshでログインすると以下のような表示が出ます。
___ ____ _ _____ / _ \| _ \(_) |__ /___ _ __ ___ | | | | |_) | | / // _ \ '__/ _ \ | |_| | __/| | / /| __/ | | (_) | \___/|_| |_| /____\___|_| \___/ Welcome to Armbian 21.02.3 Buster with Linux 5.15.48-sunxi
Armbianというディストリビューションがインストールされているようです。調べてみると、Orange PiなどのSingle Board Computer (SBC)という類のコンピュータ向けのOSのようです。表示のように、使われているのはBusterというバージョンですが、最新版はBullseyeらしいです。BusterからBullseyeへアップデートする方法が以下で紹介されていました。
これによると、/etc/apt/sources.listに記述された参照先がBusterになっているので、aptで更新してもBusterの範囲での更新になるようです。なのでこの参照先をBullseyeに書き換えれば良いようでした。ということで
- /etc/apt/sources.listの中のbusterという文字をbullseyeに書き換えて
- apt updateして
- apt full-updateする
という手順で、Bullseyeにアップデートできました。でもOSはアップデートできたのですが、sshでログインした時の表示はBusterのままでした。この対処法も上記のリンクに書かれていました。以下のようにすれば良いようです。
apt remove linux-buster-root-current-orangepizero apt install armbian-bsp-cli-orangepizero
これで、ログインの時の表示も正しくなりました。
___ ____ _ _____ / _ \| _ \(_) |__ /___ _ __ ___ | | | | |_) | | / // _ \ '__/ _ \ | |_| | __/| | / /| __/ | | (_) | \___/|_| |_| /____\___|_| \___/ Welcome to Armbian 22.05.3 Bullseye with Linux 5.15.48-sunxi
まとめ
Apple HomeKitはアプリが秀逸なので、普通のiPhoneユーザにももっと使って欲しいところです。対応デバイスが限られていて高価な点も、Homebridgeを使えば対応できます。なので誰でもすぐに使えるHomebridgeサーバという商品コンセプトは面白いと思いました。
また、思いがけずOrange Pi Zeroを使うことになりました。Raspberry Pi Zeroと比べて、ディスプレイとWiFiが無く、代わりに有線LANがあるというサーバ向きの構成なので、スマートホーム用途に向いていると感じました。
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